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『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』を自分へのクリスマスプレゼントにすることを提案する

それは昨日のこと。ぼくは『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』という書籍を書店で手に取った。正直いつも通りさらっと、読んで立ち読み済ませるつもりだった。

甘かった。結論からいうと、この本を購入してしまった。

一晩で読了したぼくは一人つぶやいた。



「この本ヤバい」




一片の曇りなく革新的な哲学書と言える本書を多くの人に知ってもらうことがぼくの使命だと思い込み、ぼくの指はいままさに光の速さでMacのキーを叩いている。

今日もぼくの話を聞いてほしい。

ヤバいポイント①: 哲学入門書にして、序盤でさじを投げる。

本書冒頭の一文を読んでほしい。

まず最初にはっきりと断っておくが、本書を読んで東洋哲学を理解することは不可能である。

なんてことだ。『哲学入門』と銘打っておきながらしょっぱらなからさじを投げやがった。これから『東洋哲学を理解しよう!』と意気込む読者に圧倒的否定のなたを振り下ろす。

しかし、よくよく読んでみると、東洋哲学を読書によって『理解することができない』ことには極めて合理的な理由が存在している。著者の飲茶先生は本書の中で東洋哲学を西洋哲学との対比でのこのように言っている

その一方、東洋哲学はピラミッド型であり、いわばいきなり最終回からはじめるドラマのようなものである。つまり、「犯人はこいつです」とクライマックスの結論からはじまるのだ。その最終回の一話だけで放映は終了。なぜそういう結論に達したのか、その根拠や導き出した過程はいっさい明かしてくれない。

『読んでわかった気になったかもしれんけど、それはちゃうで!』っていうのを明示してくれてるわけだ。つまり『理屈を理解したよ!』ということは一切認めず、『実践を伴った深い体験知のみしか認めない』というのが東洋哲学のスタンスであり厄介なポイントなわけだ。他の哲学書がうわべだけをなぞるのに対して、飲茶先生は東洋哲学の大事な基本スタンスを先に教えてくれるのだ。実際さじを投げたわけじゃない、とんでもない密度で東洋哲学の革新を教えてくれる。

ヤバいポイント②: 哲学書にして、わかり易すぎる。

『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』はとにかく、「わかりやすさ」の点において他の哲学入門書の群を抜いている。わかりやすさへの著者へのこだわりは本書のいたるところで見受けられる。

序盤から西洋哲学と東洋哲学がそのスタンスの違いについてイラスト付きで説明してくれる。
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ちょっとイラストの内容を解説すると、西洋哲学は偉大な哲人たちの考えを疑い、破壊することによって真理に達しようとする営みだったのに対して、東洋はこう。

http://livedoor.blogimg.jp/strictly_es/imgs/a/a/aa0c6d6d-s.png
急になんだかわからないが真理に達したと宣言するものが現れ、そいつは詳しく説明しない。従って、そいつの従者たちがあれこれ考えて解釈を加えていくというスタンス。上で記した根本的に理解不可能な理由がこれだ。

この他にもたとえ話がすこすこ入れてあるので、『理解できない』と感じる部分はこの本には一箇所もなかった。革新的な哲学書だと思う。

ヤバいポイント③ :哲学書にして、おもしろすぎる。

ぼくが過去に手をつけた哲学書の致命的な弱点はただ一点。

『哲学自体はおもしろいのに、それを分かり易く面白く説明できる著者がいない。』

これを『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』では完璧に解決している。多くの人が本書を買い、またぼく自身このブログで本書を紹介しようと思った最大の理由はその圧倒的な面白さだ。

特にいろんなところに組み込まれているたとえ話がとにかくおもしろい。ぼくが本屋でニヤついてしまった『耳の話』取り上げたい。

西洋哲学とは「ただの耳」である
あなたが、「耳をみて興奮を感じる文化の国」に生まれたとする。その国には「女性はみんな生まれたときからずっと耳を隠して暮らしており、本当に愛した男性にしか耳を見せない」という奇妙な風習があった。あなたが男性だと仮定してそういう国で子供の頃から育ったとしたら…、あなたを含めた国じゅうの男たちはみんな「うおおお、女の子の耳が見てええ!」と思うはずである。
(略)
そんなある日のこと、あなたの家に外国人がやってきた。彼の国には「耳」を隠すような文化はなかった。ゆえに、彼にとって「耳」は何でもないものであった。あなたの悩みを聞いて、彼は笑い転げた。
「意味がわからない。何やってるんだよ、キミは(笑)」
そんなまさか!この世に「耳」に執着しない「男」がいるなんて!
(略)
そして、ついに思考が途切れ、分別が消え去ったその瞬間ーーー。それはたった一瞬の間隙。だが、その一瞬の中に「智慧」が現れ、ひとつの奇跡がおとずれる。あなたは赤子のような無垢の境地で、知識ではなくて、論理ではなくて、言葉ではなくて、「いま起きていることの本質を」を実感として、体感として理解する。
あなたはついに究極の真理を悟った。


「こ れ は た だ の み み だ」

(引用元)史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち


もはやたとえ話の域を軽々と超えている。完全のそれ自体が笑えるストーリーになっている。しかしこのたとえ話のすごいところが、しっかりと著者が伝えたいないようとリンクしていて哲学への理解を深めることを助けてれるという点だ。

その文章力を学びたい人は、飲茶さんのブログも必見である。


本書はただおもしろい、ただわかりやすいだけでなく哲学に対しての深い理解と物事に対する新しい見方を提供してくれる。これは確実に死ぬ前に読んだ方がいい本の一冊だ